文豪・井上靖が愛した湯!「下風呂温泉 海峡の湯」体験レポート - 下北ゆかい村 青森県下北半島・風間浦村 観光ポータルサイト

文豪・井上靖が愛した湯!「下風呂温泉 海峡の湯」体験レポート

本州最北端の村・青森県風間浦村の下風呂温泉郷にある、「下風呂温泉 海峡の湯」。別々だった2つの公共浴場「大湯」と「新湯」が施設の老朽化により惜しまれつつも閉館し、この2つの源泉を引き継いで誕生した新しい温泉施設です。かつて昭和の文豪をも虜にし、熱めのお湯は効能たっぷり、お肌もすべすべになると噂の名湯。そんな海峡の湯を実際に青森県の学生が体験してきました!

下風呂温泉 海峡の湯

「下風呂温泉 海峡の湯」は2020年12月1日にオープンしたばかりの温泉施設。私が訪れた時はオープンして最初の週末だったこともあり、地元のお子さんからご年配の方まで、多くの人でにぎわっていました。建物は新しく、主に青森県の下北半島と津軽半島に分布している「青森ヒバ」を利用したヒバ造りとなっています。外観も内装もとても綺麗で明るい施設です。

下風呂温泉 海峡の湯

入館すると、青森ヒバの心地の良い香りが館内に広がっていました。青森ヒバは香木とも言われるほど、香りが強いという特徴を持ち、その香りは緊張を和らげ、落ち着きを与えるアロマ・リラクゼーション効果があります。また、非常に腐りにくい木材としても知られていて、水に強くカビなど多くの菌に対して脅威的な抗菌力を持ち、シロアリ等の害虫を寄せ付けない防虫効果も兼ね備えた、とても優秀な木材なのです。

下風呂温泉 海峡の湯

券売機で入浴券を買い、早速浴場に入ってみると、こちらもまた一面青森ヒバ造り。湯船や壁だけでなく、風呂桶や風呂椅子も青森ヒバで作られています。肌ざわりが優しく、形もコロンとしていて可愛いです。

下風呂温泉 海峡の湯

下風呂温泉 海峡の湯

さらに、浴場には大きな窓があり、温泉に浸かりながら津軽海峡を一望できます。天気の良い日は北海道もはっきり見える、まさに「海峡の湯」!

下風呂温泉 海峡の湯

「下風呂温泉 海峡の湯」には、「大湯」と「新湯」の2系統の温泉があります。2つ並んでいるので、浸かり比べて楽しむことができます。

下風呂温泉 海峡の湯

透明に近い「新湯」は、泉質が含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型)。効能として、切り傷や火傷、慢性皮膚炎をはじめ、動脈硬化や糖尿病に効くといわれています。お湯はさらりとした硫黄湯。湯船の縁に使われている青森ヒバが、お湯に濡れてほのかに香っていました。熱めのお湯は、下北半島の厳しい寒さでキンキンに凍った体を芯まで温め、ほぐしてくれます。浅めの浴槽なので、温泉初心者の私も長く心地よく浸かることができました。

下風呂温泉 海峡の湯

お湯に浸かりながら外の津軽海峡を眺めていると、こんな遠いところまで来たんだな…と改めて実感。ゆっくりと流れる時間の中で、締切の迫る大学の課題、そろそろ始めなければいけない就職活動、止まらない新型コロナウイルス感染拡大…そんな忙しい日常から少しだけ離れ、リラックスできました。

下風呂温泉 海峡の湯

「新湯」の隣にある「大湯」は、白濁した熱めのお湯です。泉質は酸性・含硫酸-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)。効能は新湯同様、切り傷や火傷、慢性皮膚炎の他に、虚弱児童、慢性婦人病、消化器疾患にも効果があり、関節や筋肉の痛みも和らげてくれるといわれています。

下風呂温泉 海峡の湯

入っているだけで肌に良さそうな、白濁したマイルドなお湯。肌の水分を補って、しっとりさせてくれる化粧水のような温泉でした。こちらはかなり熱くて、上がる頃には肌が真っ赤になっていました。じんじんと体が温まり、顔からも汗が止まらなかったです。
※水で温度を調整することもできます

下風呂温泉 海峡の湯

「大湯」の隣には、「熱湯」と書かれた浴槽があります。これは「大湯」のさらに温度が高いお湯ですが、私がいた時に「熱湯」に浸かっているお客さんは1人もいませんでした。試しに私も挑戦しようと試みましたが…、掛け湯すらかなり辛い熱さ。すぐに断念しました…。熱いお湯が好みの方は、ぜひ「熱湯」にチャレンジしてみてください。

下風呂温泉 海峡の湯

そしてもう1つの浴槽は、大湯系の「井上靖 ゆかりの湯」。昭和の文豪である井上靖は、昭和33年に小説「海峡」の最後の章を書くため、下風呂温泉の「長谷旅館」に宿泊して執筆しました。「井上靖 ゆかりの湯」は、その長谷旅館で使われていたお湯です。私が入った時は、子どもが冷水を入れていたので少しぬるかったのですが、それでも長く浸かっていると、体の表面から、じわじわと湯が内部に向かって浸透してくるように感じられました。

下風呂温泉 海峡の湯

井上靖は、小説「海峡」において、「ああ、湯が滲みて来る。本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積る温泉旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。」と綴っています。まさにこのお湯を表す一節ですね。

下風呂温泉 海峡の湯

小説「海峡」が執筆されたのは、今から約60年以上前のこと。まだ電話と電報で連絡を取っていた時代です。それでも、当時の井上靖も、今私が浸かっているこの湯に、今の私と同じ感覚で浸かっていたのだなと思わされました。

下風呂温泉 海峡の湯

温泉から上がったあと、自分の肌を触ってみると、すべすべになっていました。上がってから時間が経っても湯冷めすることなく、体にほのかに硫黄の匂いが残る、とてもいいお湯でした。

「大湯」と「新湯」は、長い歴史を経て、「下風呂温泉 海峡の湯」に変わりました。それでも、この硫黄の香る熱いお湯は変わることなく、これからも村民や観光客を温め続けるのだろうと思います。皆さんもぜひ、そんな海峡の湯を堪能して、下風呂温泉の魅力を肌で感じてくださいね。

 

下風呂温泉 海峡の湯

営業時間 4月~10月 7:00~20:30
11月~3月 8:00~20:30
(最終受付 20:00)
定休日 毎月 第2・4火曜日
1月1日
※年末年始・GW・お盆等の長期連休日は随時お知らせいたします。
年末年始の営業時間のお知らせ
2020年12月31日(木) 8:00~18:00
2021年1月1日(金) 定休日
2021年1月2日(土) 10:00~18:00
2021年1月3日(日) 10:00~18:00
駐車場 あり 16台(満車の場合は海沿いの駐車場をご利用ください)
Wi-Fi フリーWi-Fi完備
入浴料 普通券 450円(村民でない中学生を除く15歳以上の者)
村民券 150円(風間浦村民で中学生を除く15歳以上70歳未満の者)
村民敬老券 100円(風間浦村民で70歳以上の者)
小学券 50円(小学生)
中学券 100円(中学生)
普通券(回数券) 4500円 (入浴券11回分)
※小学校就学前の乳幼児の入浴料は無料です。
住所 風間浦村大字下風呂字下風呂71-1
電話番号 0175-33-2116

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